甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
「他の奴らはもう帰ったのか?」
「あ、はい。私が最後ですね」
「そうか。はいよ、お疲れ」と差し出したお茶のペットボトルを受け取る。長机に寄り掛かるように並んだ。
蓋をゆるめて一口飲み込む。
「課長、二次会大丈夫だったんですか?」
「ん? ああ大丈夫だろ。俺がいなくても」
「そうですか? 課長、知らないでしょうけど、けっこう色んな人のハートをがっちり掴んでますからね。今頃、寂しがってる人がいるかもですよ。私は色々知ってるんですからね」
得意げに言うと
「なんだよ。気持ちわりーな」
げんなりされた。
「あ、それに課長だって満更でもなかったじゃないですか。持田さんに好意を持たれてにやけてたんだし」