甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

ダメだろうと思いつつ顕をメッセージアプリで誘ってみると絶対に嫌だと目つきの悪い猫のスタンプが返ってきた。
ですよね。
念のため、電話をしてみよう。
中村の為だし、お願いするだけしてみようか。

「もしもし」
「なんだよ」
「いや、本当は来たいんじゃないかと思って」
「嫌だよ。なんだよ、中村の恋愛相談って。女子だけでやれよ」
「……中村の仕事に影響がでるかもしれないですよ」
「……そこは真唯子に任せた」
「そういうときばかり。お願い、お願いします。たぶん男の人に話を聞いてもらいたいんだよ」
「誰に話したって、解決するなんて思えないけどな」
冷たい。

少し頭にきて
「ええ。わかりました。では今日は、華さんのお店に行くことにします。顕人さんがもう私のことベタ惚れで、毎晩寝させてくれませんとかあることないこと報告しておきますね」と言って、電話を切った。

スマホを眺めながら、勢いでバカなことを言ったとすぐに後悔する。