甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

チラリとカウンターを見ると綾仁くんと目が合って、微笑まれたので笑い返した。彼を見ると自然と和みホッとした。

「そんなことより」と顕が言いかけると「あ、矢嶋くん、小千谷ちゃん」と華さんが声をかけてきた。

まだ付き合ってるとは報告していなかったので、挨拶をしてから実はと報告すると
「ええええっ。そうなんだ。付き合ったの？」と朝の中村よりオーバーリアクションだったので、顕が「声でけーよ」と呆れる。

カウンターの奥にいた綾仁くんは、華さんの声に驚いたのかビールサーバーから注いでいたビールの泡をグラスから溢れさせていた。

「良かったね。おめでとう。どうしよう。お祝いにボトル入れちゃう？　シャンパンタワー作っちゃう？」

「なんの店だよ」と顕が頭を抱えるけど、鼻歌を歌いながら、華さんが戻ってくると本当にシャンパンをあけてくれた。

「私もちょっと飲んじゃう。いえーい。おめでとう」とグラスを合わせた。

こういうことで祝福されるものだなんて思ってもいなかったのだけど、華さんの嬉しそうな顔を見ていると、なんだかとっても嬉しくなる。