甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
人間のように服を着て二足歩行で歩く、動物達の世界。
ここにルールはないけど、思いやりとか優しさがあるから、喧嘩やいがみあうことはしない。一人一人が自分の好きなことをして、満たされているからみんなが幸せで当たり前でキラキラ輝いている。
そしてその光は、みんなの内側から溢れでて、外の世界を創り上げていく。花も木々も好きな色に染まり、建物はなりたい形に日々変わる。妖精は魔法を使って一緒に遊んでくれて、自然は優しく愛を歌う友達だ。
このパズルは、その世界に住む動物家族が仲良くティータイムを過ごす、アリスのお茶会のような絵柄だったように思う。
暗闇の中に見つけた星をひとつ見つけると、隣の星が見え始めてくる。そしてそれは星座になり、その星座が産まれた神話を思い出すような気分になった。
うんと幼い頃、私は、無意識にこんな世界を描いていた。私のいる世界はこんな風に自由であった気がしていたのに、いつしかそれは理想の世界に変わってしまった。
ああ、そうだ。
「お父さんとお母さん、喧嘩多かったなぁ」
呟いて、笑いが零れた。
幼い頃はそれが怖かった。喧嘩する度、明日になれば仲良しに戻るとわかっていても、重苦しい空気の中にいるのは辛かった。
自分の事は棚に上げて、親は友達と喧嘩をしちゃダメと言ってくる。何か変だなと思っても、言いくるめられて、結局、二人を本当の仲良しにすることは諦めた。
大きくなるに連れて、関心は友達や勉強、恋に変わっていって、いつしかそれも自然なことになった。
次第に父と母の喧嘩も少なくなり、あれは大したことではなかったのかもしれないと、なんでもないことのように姿を消した。