甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

夕食が終わり、和室でゆっくりお酒を飲んでいると、ずっと聞こうとして忘れていた事を思い出した。

「そういえば、私、顕に聞いてないことがあったんだ」
「ん?」
「誕生日っていつなの?」
「誕生日? ああ、真唯子と近いよ」と答える。
「9月15日?」

そう言ったのは、顕のデスクに誕生日プレゼントらしきものを見つけた日を覚えていたからだ。

「なんでわかるんだよ」と私が的中させたことに面食らっている。
「あ、実は」
経緯を話すと(送ってくれたお礼を渡そうとした)
「そうか。お前は俺のストーカーだったのか」
と頬杖をついて、呆れた視線を投げる。

「いや、だから、それはあの時、お礼をしようと思ったからって言ったでしょ。会社で渡すと周りに誤解されて迷惑だと思ったんです。そっと閉まったほうがいいかと思ったんです。優しさなんです」
ムキになって返すと、ふはっと笑われた。

「そういえば、あれって、誰からのプレゼントだったの?」
「ああ。若槻から」
ああ、やっぱりそうか。それも私の思った通りで胸がすいた。
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