甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

少し言葉を交わして、沈黙が落ちた。

そっと唇が重なる。
そのまま角度を変えながら、キスを繰り返した。熱が伝わってくると愛しさが増し、彼の浴衣をギュッとつまんだ。

そのままゆっくり布団の上に倒れこむ。私の輪郭をなぞるように触れるキスも手も優しさに満ちていて、心地よい。

もっと熱を感じたくなる。

薄目を開けると、切なげな瞳で見下ろされていたので、私は急に恥ずかしくなり顕の眼鏡をそっと外した。

「なに……」
「なんか恥ずかしくて」
「……誤魔化しても無駄だ」
「んっ……」

深くて心地のいいキスを与えられると、何も考えられなくなってしまった。
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