甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
彼女の思いを知りました
聞かなければ良かった
翌週、中村が風邪で数日休んだ。復帰した日、心なしか少しやつれているようで
「ちょっと大丈夫? 痩せたんじゃない?」
「さすがに食欲なくて痩せたかもっす。でももう大丈夫っす。すみません」
ゴホゴホと咳払いをする。
「無理しないでよ。そういえばあの事も心配してたんだけど、話できた?」
遠まわしに加賀くんのことがどうなったのか訊くと
「この前すみませんでした。無事解決したっす。加賀っちのこと」
「もしかしてうまくいったの?」
胸を弾ませ尋ねると、罰悪そうに
「なんか軽はずみでしちゃった的な感じで、ごめんって言われました」
「え……ごめんって、それだけ?」
コクリと頷き
「でも、ほっとしてる部分もあって……やっぱり前みたいな関係に戻りたかったってわかったから、良かったっす」
苦々しく笑うので、傷ついているのではないかと感じた。
中村は声を潜めると「課長に天野先生でも紹介してもらおうかな。あ、でも課長の元彼かもしれないからダメっすよね」
冗談を言ってこの話を終わらそうとするので、良かったって気持ちは本音なの? なんて思ったことは口に出せなかった。