甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
「あ、ごめん。びっくりして」
「いいえ。でもなんで私が彼女って知ってるんですか?」
「華、知ってるだろ? 関根華」
頷くと
「あいつ、俺と幼馴染で」
経緯を説明しだす。この前、華さんのお店に行ったときに、華さんから私達のお祝いをした日に撮った写真を見せてもらったそうだ。
芋煮のときに話したから私を覚えていて、驚いたと笑った。
「あ、ごめんね。不躾で。改めまして、顕人の大学時代の友人の天野です」
「あ、小千谷です」
「よろしくね」
微笑まれるけど、顕から色々聞いていたせいか対応に少し困る。ここで切り上げようとしたのだけど
「今度はこういう子か」
明るい声で悪気はないのだろうけど、品定めされているみたいで少し不快になり立ち止まった。
「普通ですみません」
素っ気なく返した。
「あ、悪い意味でとらないでよ。なんか警戒してない? あいつに何か言われてる? 大丈夫、何もしないよ」と笑って言うので癇に障った。
顕から好きな人を奪ったことをまるで反省していないように見えて。
「いいえ。何かされるなんて思っていませんよ」
「そう。なら良かったけど。
あいつ、俺の事、未だにチャラ男だと思ってそうだからなぁ。
あ、そういえば華から聞いたけど、顕人、地元に戻るかもしれないんだろ? 店出すとか聞いたよ」