甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
テーブルに向き直ると、若槻は涼しい顔で、サラダを取り分けていてた。その温度差に愕然としながら
「……若槻、わざと煽るような質問したの?」
「え、そんなことないですよ」と言うけど、絶対に確信犯だと思う。
「……若槻はなんか敵に回したくないよね。ていうか、みんなの考えてる事
とかわかってる人じゃない? 心読めたりする?」
なーに言ってるんですか。そんな力あったらここで会社員なんかしてませんよ
、きっとと呆れたように言う。
「それに私が、小千谷さんの敵になるわけないじゃないですか。いつでも味方ですよ」
すっと心が軽くなった。そうだったなって思い出して、ここ最近の心苦しさが間違っていたような気がした。
「……うん。そうだね」
「なに神妙な顔してるんですか。小千谷さん」と笑ってから
「でも加賀くん、本当に好きで良かった。またチャラい発言してたらぶっ飛ばしてやろうと思ってましたからね」
「さすが」
若槻は、でもと小さく呟き、箸を置いた。
「感じてみて、好きだってわかる、憧れとは違うって……本当にそうですよね。実は、私も、今の彼と付き合い始めたときそんなこと感じてたなって思い出しちゃいました」