甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
かぐや姫とキス
◇
日曜日の夕方には、足の痛みはだいぶ良くなった。
それにしても課長め、バカにしてと、うっすら怒りは湧いたが迷惑を沢山かけたのは事実であって、お詫びのしるしにと、近所のお気に入りのケーキ屋さんに向かいチョコレートクッキーを購入した。
中にチョコレートのブロックがゴロゴロ入っていて、濃厚だけど甘さ控えめで美味しいのだ。
でも買ってから考える。課長にクッキーて似合わない。
翌日、悩みつつクッキーを片手に出社した。早めに家を出たので、フロアには一番乗りだった。
しかしよくよく考えると課長にクッキーを手渡しするところを人に見られたら誤解される気もしなくはない。
デスクの上に置いておく?
というのも目立つか。
ならデスクの中に閉まっておくか?
考えあぐね、一番上の引き出しを開けてみた。
「何これ?」
包装されている長方形の箱がプレゼントですといった顔でわたしを見ていた。
箱とリボンの隙間に「HAPPYBIRTHDAY」と書かれたメッセージカードも添えられていた。
動揺してとりあえず、閉めた。
見てはいけないものを見てしまった気がした。
課長が誕生日なのか?
それとも誰かにあげるもの?