甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
今まで、不快になると気分転換したり、嫌な思考が生まれると今のなしって取り消して、取り消して、取り消していった。
それは自分の感じていることを曖昧にしていたのだと実感していく。
だからか――人の言葉や態度の裏側にある感情や愛さえも、勝手に書き換えて受け取っていたのかな。
愛されてると実感したい――幼い頃にも同じような苦しみを感じていたような感覚を覚えた。
小さい自分が息を切らして走って―走って、目の前で消えた。
そうだ、私はきっと、ずっと走ってた。
こうありたい自分、組み立てたいパズルを完成させたくて。
それは、自分のものだと信じて疑わなかったからだ。だから、疲れても転んでも走ってこれた。
でも、本当は、こうありたい自分や完成させたいパズルは、知らないうちに他人から手渡されたバトンのようなものだったのかもしれない。
誰かがこれを持ってて幸せそうに見えたから、私はこれを叶えられなかったから、代わりにあなたに叶えてほしいとか、そういうものを無意識で沢山、受け取っていた。
それを手渡されたことにも、受け取ったことにも気がつかないで、走らされていただけで。
走っても走っても満たされないのは、なりたい自分でも完成させたいパズルでもないから。
本当は、本当の私は――。
思考が止まる。身体の中心から苦しみや不快感が湧きだしてくると、身体が急に重くなって、ベンチにゆっくり横たわった。