甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
「私は、希々歌の姉としてあなたと出会えて良かった。最高に幸せな時間をありがとう。
本当に沢山の出会いがあって、別れがあって、そんな中、導かれるように好きな人と結ばれるって本当に奇跡だよね。
私も改めて、そういう出会いがあった事に感謝しています。
そうして、今、目の前にある多くの事も、奇跡なんだなぁと当たり前の事など何ひとつなかったのだと気づかされています。
どうして奇跡が起きるのか。それは希々歌の中に奇跡の愛があるからだよ。それを信じて、ただ光の道を進んでね。
沢山の愛の中、私たちは生かされている。ただそれだけですごくシンプルな事だったなぁと、最近とても実感しています。
こうしてあなたにメッセージを伝えている今、私も、ひだまりの中にいるような安らぎを感じています。
希々歌が幸せを感じてるとき、そこに私はいるからね。
だから、私を思い出さなくていいんだよ。
それでは、末永くお幸せに。結婚、おめでとう」
と、笑顔で手を振ると、映像が途絶えた。
時が止まったような静けさがあった。
やがて、まばらな拍手が聞こえ、沢山の拍手に変わる。
私は、ただ背に陽を浴びるような温かさを感じていた。
若槻は顔を伏せ泣いているようで、いたわるように新郎が彼女の背をさする。
ふっと横を見ると、顕はまだ消えているスクリーンを眺めていた。
私の視線に気づいたのか、振り返り、目が合うと、優しい瞳のまま微笑んだ。