甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

披露宴が終わり、順に会場を後にする。準備が遅くなり、最後の方になった。

新郎新婦やご家族がお見送りをしてくれているようで、カゴを持った若槻からプチギフトを手渡された。
ハートと天使の愛らしいアイシングクッキーは、今日一日を物語るような贈り物に感じた。

「可愛い。ありがとう」お礼を述べると
「今日は本当に来てくださって、ありがとうございました。おかげで素敵な式になりました」

私の横から中村が現れて
「若槻さーん! まじ可愛かったっす。今度写真集作りますから」
感激した様子で伝えると
「はいはい。じゃあ、次は中村さんだからね」と写真集の件は聞き流し、隣にいた加賀くんに釘をさすので抜け目なくて笑う。

加賀くんは「若槻さん、いじるのやめて下さいよ」と言いつつ、照れ笑いをして、「まあ、そうっすね」と返事をした。
その隣で中村は、また顔を赤くする。本当になんだかこの二人は可愛らしいとしか言いようがない。

一緒に来たはずの顕がいないので探すと、会場の扉の近くで若槻のご両親と話しているのが見えた。
< 294 / 333 >

この作品をシェア

pagetop