甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
穏やかな様子に、そういえば面識はあって当然かとその様子を眺めていた。
そうしていると、中村と加賀くんはいつの間にか外へと行ってしまったようで取り残されてしまった。向かおうとすると若槻が「顕人くん」と呼ぶので、思わず振り返ってしまった。
「はい、これ」と、白いバラやピンクの花々が束ねられたブーケを顕に手渡した。
「今までありがとうございました。これは、幸せにしたい人に渡してください」と笑って告げる。
すぐに「真唯子」と呼ばれ「はい」と返事をした。
私の前まで歩みよると、「はいよ」とぶっきらぼうにブーケを差し出した。
その瞬間が、スローモーションに感じた。
両手で受け取ると、ハートが澄んでいく。キラキラした輝きもあって、それが溢れて、この世界、全てを満たしていくようなそんな広がりを感じた。
「ありがとう」
なんだ、もうあったのだと。
感じたい愛はいつだって、自分の中にあったのだとわかった。