甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
「また泣く」
呆れたように言うのだけど、顕の口元は笑っていた。
「嬉しいんだもん」
「そうかそうか」
「嬉しいんだもん。顕、愛してる。ありがとう、本当に」
告げると、顕はそっと私を引き寄せ、おでこにキスをした。
私は、そこを手で触れながら、ぽかんと顕を見上げてしまう。
それから、愛おしさが込み上げて、笑顔にならざるを得なかった。

温かさを感じて、若槻達の方を見ると「お幸せに」と手を振られた。
知ってる人、知らない人、そんなことは関係なく見守ってくれる全ての人に優しい愛があったのだと気づかされた。
心からの祝福に感謝して、手を振って返す。顕は扉を開けた。

視界の先には、緑の芝と白い一本道があり、白い橋へと続いていく。その先はなんだかもう眩しすぎて見えない。

レッドカーペットを踏みしめるように歩いた。階段を一段降りる。
その下には中村と加賀くん、数人の招待客の姿があった。
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