甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
中村が顔を上げると
「あれ? なんで小千谷さんブーケ持ってるんすか?」
驚いたように、だけど晴れやかな笑顔になるとカメラのレンズをこちらに向ける。
「ていうか課長と小千谷さん、なんで手繋いでるんすでか?」
加賀くんは状況を飲み込めないといった表情を浮かべた。
私は自然に繋いでいた手に驚いたのだけど、顕と顔を見合わせると笑った。
風が優しく頬を撫でる。どこからか飛んできたフラワーシャワーの花弁が舞う。
それは、幸せは今ここにあるのだと、導いてくれる光のようだった。
尊く、愛しく、今ここに――。