甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

しかし顔に似合わず毒づいたことを口にするし、さっぱりした性格。

意外だと思ったことは、クリスマスに式をあげたかったらしいけど、彼にダメって言われと、しょげていたことだった。結婚とは淡泊そうな彼女をそこまで変えてしまう魔法なのかもしれない。






日報の入力を打ち込みが終わると、隣のデスクの中村翼(ナカムラツバサ)が誘う。

「駅まで帰らないっすか? 若槻さんも一緒に」

若槻も帰る準備を整えて、私のデスクの方へと向かってきた。
帰社時間が近いとき、たまに食事に行ったり駅まで一緒に帰ることがある。

会社を出ると中村は思い出したように
「さっき若槻さんから聞きましたけど、やらかしたっすね」

女の子なのに体育会系口調で笑うのは、小学校から大学までバスケットボールをやっていたせいか、社会人になってもこういう気質が抜けないらしい。
こういう口調のときは彼女曰く気が抜けているときにでる。

最近は女子力を高めようと乙女ゲームをやっているらしい。
方向性が違う気がすることを伝えてみたけど、いいんすと言い張るので、それからはただ見守っている。
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