甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
どうにか早めに仕事を終わらせた。
綾仁くんは先に観てるから着いたら連絡くださいとメッセージをくれていたので、ゲート前に着いてから連絡をすると迎えに来てくれた。
「真唯子さーん」と私を見るなり手を振り、駆け寄る。ユニフォーム姿が可愛い。何回か観戦に来たことがあるんだなと装いから察する。
「私、何も持ってないんだけど」と委縮すると、「メガフォンあるんで貸しますね」と笑顔で答えた。
何か食べますかと言うので、焼き肉丼とビールを買って席に着いた。
「野球観戦ってビールってイメージだったけど、ちょっと寒いかな」
「夜になって冷え込みましたね」
「だよね。日中はまだ暖かかったけど。あ、勝ってるね」と得点を確認する。
「さっき追加点入るチャンスあったんですよね。勿体なかったな。それより急に誘ってすみません。寒かったら上着あるんで」
と私の肩にジャケットをかけてくれた。
野球はそんなに詳しくないけど、一緒に観戦しているのは楽しかった。
私の知ってる綾仁くんは落ち着いて穏やかな感じだけど、喜んだりはしゃいでる姿がとても可愛らしくて一緒にいるとほっこりする。