甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

21時を過ぎた頃、試合は終わった。駅の方へと流れる人と共に私たちも帰宅に着くことにした。

「勝って良かった」
「接戦でしたね。9回で三塁までいかれたときには逆転されるかと思ったけど」
「よく抑えたよね」
くしゅんとくしゃみが出ると
「やっぱり寒かったんですね」
「ビール飲んだの私だし、自業自得。でも来れて良かった。誘ってくれてありがとう」
「夏にまた来たいですね。やっぱり暑い時期のほうが観戦しやすいし」
「え、あ、うん」
一緒にまた夏に来たいという意味? いやいやそんなことは……何気ない言葉でものすごく左右されてしまった。
やっぱりもう少し彼といたいかも。それも本当の気持ちのように感じて。

「それじゃまた」
と笑顔で言われるので、やっぱりそれは言い出せなかった。
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