夢恋・second~その瞳に囚われて~
駐車場に停めてある俺の車の助手席に、芹香を押し込むように乗せると、俺も車に乗り込んだ。
バンッ。
ドアを閉めた瞬間に、芹香を見つめる。
うるうると濡れた瞳が、不安げに俺を見上げる。
その頬に向かってそっと伸ばした指が、震えていることに自分でも気づいていた。
触れると、彼女の滑らかな肌がピクッと揺れた。
しっとりと指に絡みつくような、懐かしいその感触を覚えている。言いようのない後悔が、再び俺の心を締めつけた。
「……誰にも……触らせたくなんかなかった。佐伯課長と芹香が、会議室にいたのを見たとき、……本当は嫉妬でどうにかなりそうだった。俺は……普通にできていたかな」
俺の指の上を流れていく、透明の涙。
「俺だけが……ずっと君を見つめていたかった。……悪いのは俺だけど……割り切ることなんかできない。合併披露会の日……、どうしてあんなふうにしかできなかったのかと、ずっと自分を責めてきた」
とろけるような、甘えた視線。可愛くて、大好きだった。ずっとそばで守ると、あんなに誓ったのに。
君はどんな気持ちだっただろう。あれから、俺を憎んでいたのだろうか。愛したことを、悔やんだのだろうか。
裏切られたと思ったとき、どれだけ傷ついたのか。
「俺を……憎んだ?」
「……悲しかった。……ただ、それだけ」