夢恋・second~その瞳に囚われて~
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誰のせいでもない。
これがふたりの運命ならば、受け入れるしかないのだ。
席に戻り、隣の彼女のデスクを見た。
新規プロジェクトの詳細を書き綴った、彼女のお手製マニュアルのノートが無造作に広げてある。
いつも使っている、カラフルなペン。
綺麗な文字が羅列している、書きかけの書類。
今君は、間違いなく俺のそばにいる。
顔を見ることすらできなかった、長い年月に比べたなら、今の状況のほうがいいはずだ。
「主任……遅くなりました……。すみません」
そのとき、芹香が席に戻り俺は顔を上げた。
真っ赤に腫れた目が、怯えるように俺を見ている。
「あ……ああ」
俺を好きだと言って泣いたとき、俺も変わらないと答えると、君は幸せそうに笑っていた。
そんな君が愛しくて、再び出会えた奇跡に心から感謝したのに。
これからもずっと、君を笑わせていこうと思っていた。
こんなに悲しい顔をさせたかったわけじゃない。