夢恋・second~その瞳に囚われて~

***

誰のせいでもない。
これがふたりの運命ならば、受け入れるしかないのだ。

席に戻り、隣の彼女のデスクを見た。

新規プロジェクトの詳細を書き綴った、彼女のお手製マニュアルのノートが無造作に広げてある。

いつも使っている、カラフルなペン。

綺麗な文字が羅列している、書きかけの書類。

今君は、間違いなく俺のそばにいる。
顔を見ることすらできなかった、長い年月に比べたなら、今の状況のほうがいいはずだ。

「主任……遅くなりました……。すみません」

そのとき、芹香が席に戻り俺は顔を上げた。

真っ赤に腫れた目が、怯えるように俺を見ている。

「あ……ああ」

俺を好きだと言って泣いたとき、俺も変わらないと答えると、君は幸せそうに笑っていた。
そんな君が愛しくて、再び出会えた奇跡に心から感謝したのに。

これからもずっと、君を笑わせていこうと思っていた。
こんなに悲しい顔をさせたかったわけじゃない。








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