夢恋・second~その瞳に囚われて~
「ありがとう。……応援してる。ただ、俺より素敵な人がいるかは分からないけどね」
「自惚れすぎです。いますよ」
無理に笑う。
これでいい。今度こそ終われる。
どこかぎこちない空気のまま、車は会社に到着した。
降りて社屋に向かおうとすると、一台の車が駐車場へと滑り込むように入ってきた。
私たちの近くで停止した車の、運転席の窓が開く。
「拓哉。来ちゃった。今日は早く終われそう?」
ひょっこりと顔を出した女性は、理恵子さんだった。
「理恵子。どうしたの」
拓哉が言うと、彼女は弾んだ声で答える。
「結婚式場のパンフを集めたの。早く押さえておかないと、空きがなくなるかと思って」
そこまで話してから、ようやく彼のうしろに私がいることに気づいたようだ。
「芹香さん。……どうしてあなたが彼といるの?」
彼女の顔から笑みが消える。
私が答えようとすると、拓哉が先に言った。
「取引先に行ってたんだよ。変な誤解をしないでほしい」