夢恋・second~その瞳に囚われて~

「いや、ごめん。つい失礼なことを言ってしまったね。……秋田芹香さん。噂通りのかわいい人だ。怒った顔がいいね」

「え……」

急に名前を言われ驚く。
この人は……誰?
一瞬考えるが、さっぱり分からない。

「そんなに驚かないで。君のことをちょっと知ってるだけだよ。正式に出会う前に、ここで会ってしまっただけだから」

「新しい上司の方……ですか?」

私の問いかけに、彼は端正な顔を緩めた。

「ははっ。君の前に現れる男が、みんな拓哉くんと同じ立場ではないよ。俺は部外者。今日は、所用でここに来ただけ」

さらに驚く。

「俺が誰か知りたいなら……そうだなぁ。デートしてくれたら、そのとき教えるよ」

「なっ。……どうして」

「今日、仕事が終わったら会ってくれる?会社の前で待ってるよ。六時くらいでいいかな?」

どう答えたらいいのか、分からない。

これは、ナンパなの?からかわれているの?
この人は誰?どうして私を知っているのだろう。
拓哉のことまでも。



< 155 / 201 >

この作品をシェア

pagetop