夢恋・second~その瞳に囚われて~
「いや、ごめん。つい失礼なことを言ってしまったね。……秋田芹香さん。噂通りのかわいい人だ。怒った顔がいいね」
「え……」
急に名前を言われ驚く。
この人は……誰?
一瞬考えるが、さっぱり分からない。
「そんなに驚かないで。君のことをちょっと知ってるだけだよ。正式に出会う前に、ここで会ってしまっただけだから」
「新しい上司の方……ですか?」
私の問いかけに、彼は端正な顔を緩めた。
「ははっ。君の前に現れる男が、みんな拓哉くんと同じ立場ではないよ。俺は部外者。今日は、所用でここに来ただけ」
さらに驚く。
「俺が誰か知りたいなら……そうだなぁ。デートしてくれたら、そのとき教えるよ」
「なっ。……どうして」
「今日、仕事が終わったら会ってくれる?会社の前で待ってるよ。六時くらいでいいかな?」
どう答えたらいいのか、分からない。
これは、ナンパなの?からかわれているの?
この人は誰?どうして私を知っているのだろう。
拓哉のことまでも。