夢恋・second~その瞳に囚われて~
「あの、由衣さん。……理恵子さんは……」
思い切って尋ねる。
「ああ。彼女ね。最近は忙しいみたいよ。お見合いパーティと合コンでね」
驚いて絶句する。
そんなに早く、気持ちを切り替えることができるだろうか。
私は何年かかっても、拓哉を頭から消すことはできなかったのに。
そんな私を見て、由衣さんは楽しそうに笑った。
「理恵子ちゃんは、責任感の強い子なの。スポーツインストラクターである自分が、北陵エクスプレスに入社しなかったことを引け目に感じていたのね。なにか協力できることがないか、いつも考えていたみたい。きっと拓哉と結婚することが、自分の義務みたいに思ってきた。彼女は大丈夫よ。私はそう思うわ」
由衣さんは拓哉と同じ理由で、理恵子さんは大丈夫だと言う。
ふたりがそう言うならば、きっと大丈夫なんだと思おう。彼女だって、私になど心配されたくはないだろうから。
そう考えて心が少し軽くなった。
「由衣。なにを話してるんだよ。余計なことは言ってないよね?」
そのとき拓哉が、私の隣に現れ由衣さんに言った。