夢恋・second~その瞳に囚われて~
「はい、どうぞ」
空いている会議室の一室で拓哉と向かい合って座る。
彼が私の前に置いてくれたコーヒーから芳ばしい香りが漂う。
「ありがとうございます」
私がカップを手に取り、息を吹きかけると彼がクスッと笑った。
顔を上げてそんな彼を見た。
「相変わらず猫舌なんだね。変わらないな」
眼鏡を外し、柔らかな笑顔を私に向ける。
恋焦がれたあなたが、こうして目の前にいることに、まだ慣れない。
「いえ、そんなことはないです……」
変わらないものなんてない。あなたの気持ちも、私を愛してくれる人があなた以外に現れたことも。
私が黙ると拓哉は困った顔をした。
「そんなに緊張しないで。純粋に仕事の話をするだけだから」
そう言って彼も湯気の立つカップに口をつけた。