夢恋・second~その瞳に囚われて~
心から願った。
あなたと過ごす日々が、永遠に続きますように。
乾いた喉を潤すように、あなたに手を伸ばした。そんな私の手を、しっかりと握り返してくれる温かい手。幸せな日々。
そんな彼と付き合って、数ヶ月が経った頃。
ふと尋ねられて、一瞬答えに迷った。
「ねえ、芹香。どうして俺を好きになった?」
「最初は……顔が好み……だったから?かな」
「顔かよ!中身じゃないの?なんだよー」
拗ねて布団にもぐってしまった彼の髪にそっと触れる。
なんと答えたらよいのか。
あなたのすべてが、今の私の中枢であると言えば、私の存在が重くて、捨ててしまいたくなるかも知れない。
「……最初は、って言ったでしょ。優しくて、誠実な人だと知ったらもっと好きになったよ」
私の言葉に拓哉は布団から、もそっと顔を出した。
私を見つめるその瞳は、私の真意を探るようにくるくると動く。
しばらくしてから、彼は照れたようにニコッと笑った。
「こら。照れるだろ」
言いながら目を逸らす。
そんな拓哉の頬を両手でそっと包み、私の方を向かせるとそのままキスをする。
あなたと抱き合った後に交わされる、他愛もない甘く愛しい言葉たち。
拓哉の胸に頬を寄せ、その音を耳に響かせていると、私を包み込む長い腕の温もりを背中に感じる。
「……あれ?どうした?……なんで泣くんだよ」
私の顔を覗き込んで、困惑する拓哉を見つめる。
「怖い。…怖いの。もしも…拓哉がいなくなったら、私…」
思わず漏れ出す本音。
前が見えなくなるくらい、どんどん毎日好きになる。
こんな恋は、もう二度とできないと、心から思う。