夢恋・second~その瞳に囚われて~
君に笑ってほしくて
「星野主任。あの、ちょっといいですか」
「ん?どうしたの」
パソコンから目を離し、隣に目線をずらして芹香を見た。
「この木枠なんですけど、重量はそんなにないんですが、形が複雑で。トレーラーに車輌変更しないと難しいと思うんですが。ルート変更してもいいですか」
手渡された資料を受け取り、それを眺める。
そんな俺を、隣に座る彼女が黙って見つめているのを感じる。
「ああ…うん。そうだね。車体の形状がウイングじゃ確かに難しいかも。箱車じゃなくなるなら、梱包資材を変更しないとな。じゃあ君は、道幅五十メートルのルートに変えてくれる?燃料計算と資材関係は、後でやり直すから」
「わかりました」
資料を返しながら彼女を見ると、ふと目を逸らした。
決して交わることのない視線。
お互いを見つめ合い、微笑みながら過ごしたころには想像すらできなかった現在の二人。
俺も彼女から目を逸らすと再びパソコンを見つめた。