夢恋・second~その瞳に囚われて~
「そんな、調子のいい話を、今さら信じろとでも……」
言いながら、彼の目を見つめる。
それは、キラキラと怪しいほどに輝いて、私を容易く魅了していく。
あの頃と同じように。
真剣なその眼差しは、私の心に足りなかったなにかを、瞬時に急激に満たしていく。
「やめ……て……」
もう、かき乱さないで。
思い出す。
あなたを好きで、堪らなかった頃の自分を。
そんな私を、大きな愛情で包んでくれたあなたを。
まやかしなんかじゃなかったと、認めてしまう。
「あのとき君は……言い訳すらさせてくれなくて……。突然、俺の前からいなくなってしまった。……ずっと、君を探していた」
「嘘よ……。信じない……」
あなたの視線を避けていたのは、見つめ合うと抗えないことを知っていたから。
「芹香。信じて。俺は……」
彼の手が、私の顔に向かってそっと伸びてくる。
長い指が、私の髪に絡まり、すり抜ける。
あの頃と変わらず、人を魅了していく強烈なオーラ。
見つめられたなら、恋に落ちない女はいないと、断言できるほどの。
「言い訳だなんて、する必要はなかったはずよ。あのとき私が消えて……あなたは都合がよかったでしょう?」
必死で強がる。
このまま拓哉にしがみついてしまいたい衝動を、抑えて閉じ込めるように。
そんな私の問いかけに、拓哉は黙っている。
だけどその瞳は、悲しみに満ちている。
私たちはしばらく無言で見つめ合っていた。
目を逸らせない。
どうして今頃になって、私の前に現れたの。
「話を……聞いてほしい。あのときのことを説明したい。どうしても」
「そんな……。今さら聞いても同じよ。私には……佐伯さんがいるから。もう、過去は……封印しないと。あなたに惑わされて、迷ったら私は変われない。変わりたいの。佐伯さんと一緒に」