夢恋・second~その瞳に囚われて~

「星野主任!今夜は空いてますか~?」

そのとき、同僚の萌が、こちらに向かってやってきた。

「島村さんか。なに?なんかあった?」

彼は、その甘い笑顔をそのまま、萌に向ける。

「今日は飲みに行きましょうよ!芹香も一緒に!前に約束しましたよね?いつになったらご一緒できるのかって、皆がうるさいんですよー。まあ、私も主任をガンガン攻めるつもりですけどね。覚悟してください!」

ストレートな彼女の誘い方に拓哉は、可笑しそうに笑う。

「ははっ。そうなの?そうだね。確かそんな約束をしてたよね。うん、いいよ。行こうか。残業にならないようにしないといけないな。あと少しで終業だ。島村さんの話を聞くために必死で頑張るよ。君に攻められてみたいから」

拓哉の言葉を聞いて、私の胸がズキッと痛む。

冗談だと、分かっているのに。
だけど、誰にでも笑いかけてほしくないだなんて思ってしまう。
そんなことを考えてしまう自分を自分勝手だと思う。

「きゃ〜!そんなこと言われたら、マジで惚れますって!!」

「本当に?じゃあもっと言おうか。あはは」

「言って言って。口説いてください!おっしゃる通りにしますから!」

拓哉の反応に萌は嬉しそうに騒ぐ。
私は笑い合う二人の声を聞いて、俯いた。

自分がまるで子供みたいで恥ずかしい。
たかが、こんなことで拗ねるなんて。


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