夢恋・second~その瞳に囚われて~

俺の胸に顔を埋める、芹香の頭にキスを落とす。言いようのない満足感に満たされていく。
そのとき。
ポケットで携帯が揺れているのに気付いた。

「ごめん。電話だ」

そっと芹香を離すと、電話を取り出した。

父からの着信。
滅多に電話なんて、かかってくることはないのに。

不思議に思いながら通話ボタンを押す。

「父さん?珍しいね。どうしたの。……え、そうなの?本当に?……俺が?……うーん……。まあ、いいけど……」

父が俺に頼みごとをするのは、初めてのことだった。


「芹香。ちょっと急用。悪いけど、実家に戻らなきゃならなくなった」

電話を切って、そう伝える。父から内容の説明をしたいと言われたのだ。

「えっ?誰か病気とかなの?」

「違うよ。なんか、会社のことで。頼まれごと」


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