夢恋・second~その瞳に囚われて~
「お父さんが経営してる会社?」
「そう。ちょっと面倒なことになってるみたい」
これまであまり家業については、芹香には話してはいなかった。
だからこの程度の説明でいいと思った。
「そう。……あの、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。今からもう行かないと。芹香は心配しないで。帰りは明日の夜になると思う。ごめんな」
「うん」
芹香の頬に軽くキスをして別れると、俺は慌ただしくタクシーに乗り込んだ。
「父さん。遅くなってごめん」
市街からタクシーで、二十分ほどの郊外にある実家に着くと、父と母と姉が、深刻そうな顔で俺を見た。
「どうしたんだよ。なにがあったの」