夢恋・second~その瞳に囚われて~
__「拓哉。陵和輸送の社長のお嬢さんで、理英子さんだ。今日はよろしく頼むよ」
翌日。
父から紹介された女性を見て、驚いた。
「理英子……」
なんと、高校時代に付き合っていた、花木理英子が目の前にいた。
彼女も俺と同じく、驚いた顔で俺を見ている。
「まさか。本当に……?拓哉が北一運輸の……?」
俺たち二人の様子を見て、父が不思議そうな顔をする。
「なんだ。知り合いだったのか?」
俺は、彼女から目を離さないままで答えた。
「うん。高校の同級生なんだ……」
俺が言うと、父は安心したような表情になった。
「そうか。なら、なお良かった。うまくやれそうだな。今日はよろしく頼むよ。じゃあ、俺は花木社長と話してくるから」
そう言って父が去り、二人きりになった。なにを話したらよいか分からず、考えていると、理英子がおずおずと話し出した。
「……驚いたわ。まさか……あなたの家だったなんて。今回の話は聞いてる?」
「うん……。なんとなくね」
俺の戸惑う様子を見ながら、クスクスと笑う彼女を見て、俺よりも、彼女の方がずいぶんと大人になったと思った。余裕があるように見える。
家業については、いずれは継がなくてはいけないと分かってはいた。だが今はまだ、大丈夫だと思って避けてきたせいなのか、理英子のようには、瞬時に割り切れない自分がいた。