クールな同期が私だけに見せる顔
「省吾ったら、すぐに終わるから。止めて。手元が狂うって」

暑かったから髪を上げていた。

彼は、後ろから体をぴったりとくつけてきながら、むき出しになってる私のうなじに、唇を押し付けてくる。

「省吾……ちょっと待って」
私は、彼に押されて前のめりになっていた。

「待ってるから、早くして」

手元が狂って、水をかぶった。

「うわっ、冷てえ。晴夏、蛇口から水出し過ぎだ」

「だから、言ってるのに。何度も手元が狂うから止めてって」


「やだ。今日、ずっと晴夏に触るの我慢してたから、ダメ。止まらない」

「服が濡れてしまって、冷たい脱がなきゃ」

「俺が脱がせてやる」
彼の指先が、エプロンのヒモを解く。

「待ってってば!」
省吾は、濡れていないシャツまで私から奪おうとしてる。

「晴夏、俺のこと好きじゃないのか?」
彼が、私の手を取りながら言う。

「今、好きだったら拒否しないはずだ、とでもいうの?」もう、本当に面倒くさいやつ。

「うん。晴夏に触れたい。
晴夏と触れ合いたいのに。君は、俺のことより皿を洗うことの方が大事?」

「省吾?いい加減にしないと怒るわよ」
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