クールな同期が私だけに見せる顔
テーブルは難しくて、結局、床に押し付けられた。
どこでしたのかなんて、意味は無くなってるけれど、省吾は納得したみたいだった。

いつの間にか、ベッドに移動して心地よい寝息を立てている。
私は、力尽きて横たわった彼の体を、ぎゅっと抱きしめてあげる。


どうしてこんなに、不安になるのよ。
普通にしてればいいのに。

どこにも行ったりしないのに。

「君は、誰のもの?」
起きてるのか寝てるのか分からない。
寝言のように言う。

「省吾、わかってるでしょう?」

「わかってるって自信はあるけど。俺、君の口からはっきり聞きたいんだ。
俺は、君の中で一番なのか知りたい」

「もっと自信をもって。私、あなた以外の人と、こんなふうにはならない」


「わかりにくいな。どういうこと?」


「んん?分かりにくいって、どういうこと?なんとなく、言いたいことは分かってるでしょう?」

「わかってるって思っても、俺の勘違いかも知れないだろ?」


「あのね、省吾。疑うのもそのくらいにして」
私は体を起こして、省吾の顔をのぞき込んだ。
どうやら、ふざけて言ってるわけじゃなさそうだ。

「俺が寝るまでに、質問に答えて」

「ん、あまり乗り気じゃないけど。なに?」

「晴夏、今まで好きだったやつの中で、一番好きだったのって誰?」

「はあ?」

「だから、今まで好きになった男の中で、一番好きだなって思ったヤツって、誰?」

「省吾、なに言ってるの?意味が分からない」
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