クールな同期が私だけに見せる顔

省吾は、時々つまらないところにこだわることがあった。

いったい、何を気にしてるのって聞きたくなる。


「省吾、それじゃわからないって。
あなたは、今、何が知りたいの?私に分かるように言って」

彼は、私にぴったりと、体を寄せながら言う。

「晴夏は、俺といる以上に、一緒にいたいと思えるヤツっていた?」

なんですって?私の聞き間違い?

私は驚いた。

「えっと……」

「恥ずかしいだろう。深く考えるなよ、アホ」

私は、彼の冗談に乗らないように気持ちを落ち着ける。

それから、ふざけてるって取られないように気を付ける。

「好きだって言うだけじゃダメなの?」

「その好きだっていう、度合いが問題なんじゃないか?
俺以上に、好きになったっていう男はいたのか?」

「省吾君、そんなこと聞く意味あるのかな?」

彼は、恥ずかしそうに視線をそらす。

「だから、過去に好きになったヤツの中でも……
くそ、恥ずかしくてこれ以上言えるか」

「つまり、省吾のこと好きかって聞いてるの?それなら……」

「ただ好きだっていうだけじゃ足りない。過去に俺以上に好きになったヤツっているのか?」

「過去に?何で過去なの」

「お前は……」
省吾は、気まずくなって口を閉じた。


「ああ、わかった。
省吾、俊介さんのこと気にしてるんだ。
どうして気にしてるの?もしかして、まだ、不安なの?」

「ん、やっぱりお前、意地悪なヤツだな」

「どうして?意地悪じゃないと、省吾みたいな、ひねくれ屋さんのこと、わかってあげられないわよ」

「晴夏、俺のこと俊介さんだと思ってただろ?」

「そう、それがいまだに気に入らないわけね?」

< 104 / 220 >

この作品をシェア

pagetop