クールな同期が私だけに見せる顔
省吾のことが気になって、頭から離れない。
私は、会社の同期の咲良と一緒に、同期の横山君を呼び出して居酒屋に誘った。
省吾と付き合うきっかけになった店だ。
私たちは、奥の席に座って、ビールを注文する。
「晴夏ちゃん、あいつの我儘は死んでも治らないって。あんまり気にするなって」
横山君が見かねて、話しかけてくれた。
横山君は省吾と同じ営業で、だいたい二人でいることが多い。
「気にするなって言われても、そりゃあ無理だよね」
咲良があっさり言う。
咲良には、まだ相談してなかった。
けれど、勘のいい咲良は、私の様子を見て、なんとなく察してくれてるみたいだった。
でも、彼女に相談するのは気が引ける。
聞く方が弱っていたって、お構いなしに正論を言うんだから。
「気にしなくてもいいのかな。私」
咲良に言われてつい、口から出てしまう。