クールな同期が私だけに見せる顔
「やあ、お持たせ」
空調のきいた部屋なのに、島村課長はハンカチで汗を拭きながら戻って来た。
「すまないねえ。変なこと君に頼んだりして」
「いいえ。仕事に関することですから」
確かに、あまり気分のいいものではないですけど。
課長は、中身を確認すると頷いた。
これでいいってことかな。
「申しわけない」
中身は、たいしたものではない。
美登里さんの行動を、一週間分メモして、書き込んだだけだった。
それを、スケジュール表をプリントアウトして島村課長に渡したのだ。
「あの、美登里さん、確かに席を外す時間は長いですけど、朝早く出社して業務をこなしてます。ですから、多少の離席は……」
後ろめたいのか、私は、彼女を擁護するような言葉を付け加えていた。
「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと考慮するから」
「はい」