クールな同期が私だけに見せる顔


省吾は、『そうだよ。それがどうかした?』って、
美登里さんのこと、あっさり認めると思ってた。

だからあんなに、はっきりと省吾が否定するとは、思ってなかった。


すぐに認めると思ってたから、話もそれで終わると思っていた。

『やっぱり、あなたは私だけのものになる人じゃない』
そう言ってやっるつもりだったのに。


さんざん考えたはずのに。

もう、これでブレないって思ったはずなのに。

省吾を目の前にしたら、気持ちが、簡単にぐらついてしまった。

考えたことなんて、真っ白になってどこかに消えてしまった。


彼を前にすると、もう、どうでもよくなる。

彼がいれば、何にもいらない、なんて恐ろしいこと考えてる。


省吾になら、どんなに理不尽なことされても、許してしまう。

私が、そんなに省吾のこと好きだったなんて。


まったくの、予想外。

まいったな。


たとえ、省吾がこれっぽっちも、私のこと愛してなくても。

まったく関係ないんだ。

私があげられるもの、全部省吾にあげてしまう。

それでもいいなんて。


省吾は、ただ一人の人。
誰にも変わりはできない。

そんな人が目の前にいたら?

省吾に優しくしてもらうためなら、私は、何でもしてしまう。

やらなきゃいけないことだって、省吾にするなと言われたら、本当にしないでいられる。



こんなの、ダメだ。狂ってる。


生活のすべてが省吾になってしまう。


省吾に死ねって言われたら、本気で死ぬことを考えるかも知れない。

やっぱり、ダメ。普通じゃない。


私、省吾のこと本当に好きなんだ。

だから、一緒にはいられない。
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