クールな同期が私だけに見せる顔

「変わってない?とても、そうは見えないんでしょ?」

「ん、少し、悲しそうだけどね」

「少しだけ?」

「少しだけだよ。すぐに回復するさ」

「慰めてくれるの?」

「いいよ。いくらでも。
晴夏がそばにいて欲しいって言うなら、そばにいてやるよ。
この間までそうして来たじゃないか」

「ん……」

「そんな目で見るなって。俺のせいじゃないかと錯覚するだろう?」

はあ……

やさぐれた心が溶けていきそう。

この人、すごく穏やかな人なのだ。

こういう、夜探れた時に染み渡るような、心地いい人だ。

うっかり、全部話してしまいそうになる。



「俊介さん、そっちは、どう?」

「順調だよ。東北の気候も、人間も俺にあってるみたいだし」
そうなのだ。

イケイケで押しまくる営業も多いけど、この人は違う。

俊介さんのように、クライアントの細かいところまで気を配り、相手が望んでたことを穏やかに提案していく。

押し付けたりしないけど、クライアントに信頼されている。



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