クールな同期が私だけに見せる顔

前のように、穏やかな笑みを浮かべた優しい顔。

「晴夏、後でゆっくり話を聞くから」

彼は、安心させるように、軽く手を握ってくれる。

「うん」

俊介さんは、省吾となにもかも正反対だ。

この人と一緒だったら、穏やかな日々が送れる。


「いつまで、こっちにいるの?」

私も、これから休みに入る。

私も、省吾から離れるならいいチャンスだ。
いい具合に、誤解してくれてるし。


「それは、晴夏次第かな。
場合によっては、晴夏にこっちに来てもらってもいい」

「こっちって?」

「仙台だよ」

私たち、そんな話一度もしたことないけど。


「いきなり、どうしたの?」


「だって、君、もうすぐ会社、辞めるんだろう?」

辞める?

ちょっと待って。何で俊介さんが知ってるのよ。

「どっからそれを?」

「内緒。今夜は用があるんだ。だから、明日話そう」

「はい」


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