クールな同期が私だけに見せる顔
私は、美登里さんのことを咲良に話した。
省吾に断られて、入れてもらえなかった彼の家に、美登里さんが入って行くのを見てしまった。
「省吾が?まさか、美登里さんと?
それ、ないって。いくら女に節操ないやつでも。
ええっ、あの、省吾が?
やっぱりないって。冗談だって。
あり得ないよ。絶対になんかの間違い」咲良は、断言した。
「だったら、何で、私はダメで、美登里さんは、彼の部屋を訪ねるの?」
しかも、彼女の私には部屋に来るなって言っておいて。
「さあ、知らない。晴夏、そんなことでむくれてるんだ」
「そんなことじゃない」
「でもさ、もったいないよね。
こんな、どうでもいいことで省吾のこと諦めるなんて」
「ど、どうでもいいことじゃないよ。別に女性がいるなんて、受け入れられない」
「そっか、それは、仕方がないわね」
「咲良……」
「いいんじゃないですか。晴夏が納得してるなら。元彼のところに逃げ出しても」
突然、感情的になってしまった。
我慢してきたことが噴き出してしまった。
「逃げ出したら、いけないの?」
涙がこぼれ落ちた。
「ちょっと、晴夏……」
「ダメなのよ。私、省吾には何もできなくなるの。
彼は、私のそばにいてくれればいいの。
すでに、省吾に浮気されても赦そうと思ってる。
でも、こんなのダメなのよ。
相手に引きずられて、何もできなくなって。
彼のすることなら、何でも受け入れてしまう。
こんなの、間違ってるでしょう?
私、省吾といると自分じゃなくなってしまう。それが、すごく怖い」