クールな同期が私だけに見せる顔
夏休みなんか、どうでもよくなっちゃったけど。
申請した以上は、ありがたく過ごさなければいけない。
なので、周りの人に迷惑をかけないように、しておこう。
自分がいない間の、一週間滞りなく業務が進むように。
美登里さんと調整をする。
美登里さんに対して、一時は、つい感情的になって、彼女にきつく言ってしまったけれど、何日か過ぎて、落ち着いて対処ができるようになった。
「思いつくことは、全部書面にしておきました。後は、それを見ていただければ、多分大丈夫です」
「そう、ありがとう」
美登里さんは、興味なさそうだった。
私に構わず、顔を下に向けたまま言う。
「何か分からないことがあったら、
言ってください」
「ええ、ありがとう」
美登里さんは、私が挨拶をしても、下を向いたままだった。
気にする様子もなく返事を返してくる。
珍しく、彼女は残業をしていた。
残業してるからって、どうしたのかなって、気にするのは止めよう。
私にだって予定はある。
私は、俊介さんと待ち合せている。
うっかり、美登里さんの残業の手伝いまでしないように。
すぐにホテルに向かおう。
結構、支度に時間がかかってしまった。
時間ぎりぎりになってしまったから、
すぐにでもでなければ。