クールな同期が私だけに見せる顔
「晴夏、飲むだろう?」
駅からわずかな距離だけれど、俊介さんの顔には、うっすらと汗がにじんでいる。
走って来たくれたんだ。
「ええ、一応ね」
俊介さんは、ホテルの中を見渡すと、
ホテルで開かれてる、イベントのポスターに目を止めた。
「それなら、あれにしないか?
ワインや、スパークリングワインの飲み放題、このホテルでやってる」
「ワインの飲み放題ですって?
俊介さん、食事しないの?お腹減ってるでしょう?」
彼は、ポスターが見える位置まで近づくと、私に向かって言った。
「いや、食事もビュッフェスタイルでついてるよ。それならいいだろう?」
「ええ、そうね」
「それに、今日は……
ここに泊まればいいからね」
耳元で、呟くように言う。
「ん?」
「何でもない」
彼は、私の背中に優しく手を当てた。
前にそうしていたように。
「行こう」