クールな同期が私だけに見せる顔
「このローストビーフ、ほんと美味しいね」

「ああ」

彼の皿には、ほとんど食べるものがない。

「どうしたの?食事、まだ取って来てないね。私が何か取ってこようか?」

「いや、いいんだ。食事なんて。
そんなもん、どうだっていいから。
晴夏、座って。

もっと早く……
ずっと君に連絡しようと思ってた」

「うん」

「でも、出来なかったんだ。
君に東京を離れる気持ちはないって、
言われちゃったし。
いい返事は聞かれないって、分かってたからね。
でも、晴夏、本当なのか?
君が、会社を辞めるって。
それ聞いてもしかしたら、仕事を続けたいっていう考え、変わったのかなと思って」

私は、驚いて目を丸くした。
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