クールな同期が私だけに見せる顔
「そんなところで、何やってんだ」
聞きなれた柔らかくて、少し高い声。
「ん?」
俊介さんが鍵を取ろうとして、私から体を離した。
私も振り返って、声の主を確かめようとしていた。
でも、無理だった。
振り返る前に、いきなり腕が伸びて来て、私の体はガッチリとした体に押し付けられる。
その俊介さんの目の前で、あっという間に引っ張られ、誰かの板みたいに胸に釘づけにされた。
俊介さんと違う、引き締まった体。
私が知っている中で、こんなことをするのは、省吾くらいだろう。
省吾じゃない、他にも、通りすがりの強盗犯っていう可能性もある。
けど、その場合は俊介さんの態度が落ち着きすぎている。
ぴったりと密着した体から、ピリピリとした異様な緊迫感が伝わってくる。
私を抱きしめて、心が高鳴るというより、この場で私を絞め殺したいと思ってるだろう。
どうしよう。