クールな同期が私だけに見せる顔





「そんなところで、何やってんだ」

聞きなれた柔らかくて、少し高い声。



「ん?」

俊介さんが鍵を取ろうとして、私から体を離した。

私も振り返って、声の主を確かめようとしていた。

でも、無理だった。


振り返る前に、いきなり腕が伸びて来て、私の体はガッチリとした体に押し付けられる。

その俊介さんの目の前で、あっという間に引っ張られ、誰かの板みたいに胸に釘づけにされた。


俊介さんと違う、引き締まった体。

私が知っている中で、こんなことをするのは、省吾くらいだろう。

省吾じゃない、他にも、通りすがりの強盗犯っていう可能性もある。

けど、その場合は俊介さんの態度が落ち着きすぎている。


ぴったりと密着した体から、ピリピリとした異様な緊迫感が伝わってくる。

私を抱きしめて、心が高鳴るというより、この場で私を絞め殺したいと思ってるだろう。

どうしよう。
< 178 / 220 >

この作品をシェア

pagetop