クールな同期が私だけに見せる顔
「覚悟しろ、浮気女」

「なに?」

「結局、浮気したのは、お前の方じゃないか?」

「なんでそうなるのよ?」

「俺、美登里には触れてない。
晴夏が大事だから、誤解されるような真似できないって……」

「んん……」

「償いはしてもらうよ」

「ええっ!」

「そうしないと傷ついた心は、癒されないからな」

「ど、どうするの?」

「とりあえず、俺のこと好きって言えよ」

「沢井さん、好きです」

「なんだよ、それ。小学生の告白かよ。
全然そそられない」

省吾はソファにもたれて、頭の上で腕を組んだ。

「好きって、言葉には変わりがないじゃない」

「気持ちがこもってない」

「省吾……そんなふうに言わないで。
省吾が私のこと本気で思ってくれてて嬉しいの。分かってくれないの?」

「だから、言葉でちゃんと言って欲しいって言ってるだろう」

「好き。省吾。あなたのどの部分も」

彼の顔に触れるほど近づいて、
目尻にキスをする。

ピクンと彼が反応する。

< 197 / 220 >

この作品をシェア

pagetop