クールな同期が私だけに見せる顔
「もう無理……お願い、許して」
恥ずかしそうに、懇願する。
こんな中途半端なところで、何やってるんだろう。
脱ぐなら、さっさと脱いでしまいたい。
彼は、キョトンとして私を見つめている。
「普段、言う通りにしない癖に……
急に俺の言うこと聞くなって。
お前、俺のこと、
これっぽっちも意識しないくせに…
お願いとか、言うな。お前、それ犯罪。」
「省吾…………」こんなことでいいの?
彼が、私を抱きしめる。
彼の匂いに包まれて、世界が彼だけになる。
晴夏と……
耳元でささやかれる、彼の熱い息。
わずかに残った服を、愛しそうに弾く優しくて、繊細な指。
そして、私の大好きな、ふわっと包み込むような声。
これからも、ずっと一緒。
彼がいれば、もう何もいらない。
彼が私の腕の中で、身震いした。
「晴夏?」
「ん?」
「悪い…………」
「何?」
「不味いことになった。
ちょっと、アクシデントが…………」
「どうしたの?」
「お前、会社辞めるつもりだよな」
「どうして?辞めないよ。
もう、辞める理由なくなったもの」
「そうか、いや、まあ、いいか。
そのときは、そのときだ」
私は、省吾の大きな体を揺さぶる。
「何言ってるの省吾、そんなことより早く起きようって。私たちずっとこうしてるもの。いい加減お腹減ったでしょう?」
「ダメ。俺、もう少し、晴夏の中にいたい」
「でも、もう起きてシャワー浴びたい…………」
「お前、俺と一生、関わって行くのって、どう思う?」
「素敵ね」
「だろう?なら、許せ」
「何したの?」
「まあ、1週間もしたら、分かると思う」
「変な人」
「どんな時も、俺、お前のこと大切にするから」
「ん、いいよ」
「今ので、しっかり許可もらったからな。
晴夏、愛してる。だから、どんなことになっても、許せよ」
【end】