クールな同期が私だけに見せる顔
俺の恋人
「その辺でやめとけって」
空になった晴夏のグラスを取り上げて、注文を聞きに来た店員に断った。
晴夏はすでに、相当な量の酒を飲んでろれつが回らなくなっていた。
俺の肩に寄りかかって、倒れてしまいそうだった。こいつが限界なのは明らかだった。
晴夏は、俺の腕にしがみついたまま眠りかけていた。
「おい、こんなとこで寝るなって」
思ったより酔いが回って来てる。このまま寝ちまったら、こいつを抱きかかえて世話する羽目になる。それだけは避けたい。
「咲良、そろそろお開きにしよう」
向かいに座ってる咲良に声をかける。咲良が気が付いたので、晴夏がつぶれたって知らせる。
「わかった」咲良がすぐに動いてくれた。
残ったメンバーにそろそろ帰るよと声をかけてる。
「省吾、晴夏は俺が送ってくから」
なに言ってんだ?
晴夏をあおってこんなに飲ませたくせに。
横山が、無理やり自分の方に傾けようとして晴夏の腕を引っ張った。
晴夏の体は、俺の腕に絡んでびくともしなかった。
「晴夏!行くぞ。今日は俺と帰るんだろう?」横山が酔っぱらって言う。
「お前、自分の方が酔ってるだろう。そんな状態で送るなんて無理」それに、こんな状態の晴夏預けられるか。晴夏だって、俺の腕につかまったまま離れないし。
「なんだよう。ちゃんと送っていけるって」横山がこっちにこいよって晴夏のほっぺたを叩いて呼びかける。
「ダメだ。晴夏のこと支えて歩けないだろう?だから、ダメだ」横山を追い払って晴夏の体に腕を回す。
晴夏の体支えて、店の前の通りに出た。
咲良がいつの間にか清算を済ませて追ってきた。