クールな同期が私だけに見せる顔
とっさにキスされると思ったから、避けてしまった。

晴夏は俺に水を飲ませようとして、失敗してゴホンとむせた。
水は、ほとんど口移しできなくて晴夏のブラウスが濡れてしまった。

「ふざけるなよ、晴夏」

「冷たい」ブラウスを引っ張って肌に触れないようにしてる。

きつい言い方をしてしまったのに、晴夏は気にしてないようだった。

ベッドまで彼女を連れて行って寝かせた。濡れたブラウスを脱がせてやった方がいいと思ったけど、そんなことしたら理性が持たない。だから止めた。

「ちゃんと布団かけて寝ろよ」足元で丸まってた布団をかけてやる。

「待って」晴夏が袖を引っ張った。俺は無視した。

「行かないで」

「何言ってんの?」晴夏は、俺の止せっていう忠告を無視して、袖をつかんで来た。

「止めろって、一人で寝ろ」引き留められると、変な気分になる。

「ん……やだ。もう少し」晴夏は、腕を伸ばして来て首の後ろに巻き付けて来た。

「おい、寝ぼけて何してんだ」

ぴったり押し付けられる晴夏の体。

こんなに柔らかくて温かいんだ。

こいつから抱きついてきたんだから、このままでいようか?
無理に押し返す必要ない。こいつが勝手にしてきたことだし。
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