クールな同期が私だけに見せる顔






いつものように、彼からのメールが来る前に私の方から連絡する。


前から予定があるって言っておいたけど、多分省吾忘れてると思うから。


――今日は、予定があるから会えない



今日は、友人の咲良(さくら)と飲むことになったのだ。


――なんで?

すぐに返事が返ってくる。


――用事があるの。そう言ってたじゃないの。


――何の用事だ?


――何でもいいじゃない

もう、最後はイラついて、きつい言葉で返してしまった。

彼は、送った言葉に対して、何にも言ってこなかった。


その日は、会社の同期の友人、咲良と飲みに行くことになっていた。


かなり前から、そう決めていたのに。
省吾にも出かけるからと、言ってあったんだけど。

今朝も出掛ける前に、省吾が、なぜか聞いてないと、まったく違うことを言い出した。

「今日、映画行こうか、晴夏」

「省吾、だから今日は予定があるって言ったでしょ?」

さすがに、私もイラついた。

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